国会議員の二重国籍、何が問題か。

民進党内部からの動きもあり、民進党蓮舫代表が戸籍謄本を公開する方針であると言いました。主に保守系の(あるいは所謂「ネトウヨ」の)長らく主張して来たことです。

一方、それに対して左派系の人々からは「そんな必要はない」との主張があります。その理由というのは、「人種差別に繋がる」であるとか「ダブルルーツの人々への偏見に繋がる」というものらしいのですが、しかしこれは全く筋違いの話です。

 

二重国籍は何が問題か

二重国籍について、何が問題なのか、という意見もあるでしょう。もちろん市井には二重国籍の人など山ほどいるでしょうし、その全ての人に非難が向けられているわけではありません。

今回の蓮舫代表の二重国籍問題の根幹には、二重国籍でありながら「国会議員になってしまった」という部分と、更に加えて「野党第一党の党首になってしまった」という部分があるのです。

前者、「国会議員になってしまった」という部分に関しては、二重国籍はグレーと言わざるを得ないでしょう。日本国籍を持っている時点で要件を満たすと考えることもできます。問題は、それを隠した疑いがあるということです。蓮舫代表がかつてキャスター時代に「在日中国人として」と言うようなことを幾度となく発言していたという記録も残っており、本人はそれが誤解だったと言っているようですが、その説明で納得できるかと言えば疑問です。森友・加計問題について、「説明がなされていない」といつまで経っても繰り返す一方、こちらについては「十分に説明を尽くした」というのは通じる話ではありません。

後者、「野党第一党の党首になってしまった」というのは問題です。多くの民進党議員が「二大政党制を担う政党」を目指すと言って憚らないのですが、そうなると、蓮舫代表は総理の座を狙うということになります。総理大臣は国防の最高指揮官でもありますから、その時二重国籍の総理大臣が重大な決断を出来るのかどうか、疑念が残ります。

 

「戸籍謄本開示」は解決になるか

以上のことより二重国籍が問題であると思われるわけですが、果たして「戸籍謄本の開示」によってそれが解決するかは微妙です。と言いつつ、彼女が既に二重国籍の状態を脱していることを示すことは大前提に違いありません。

しかしながら、それによって全てが解決されるわけではありません。大きな疑惑が1つ残ります。「意図的に二重国籍であることを隠していたのではないか」という疑惑です。これには「戸籍謄本の開示」はさして役に立ちません。

 

「差別」に繋がるか

「人種差別に繋がる」という話は、全くの筋違いです。以上の問題は、彼女が二重国籍であることを(意図的かは抜きにして)隠したまま国会議員になってしまったというところに端を発する話で、別に市井の外国人などへの差別意識に繋がるものではありません。

この件は、憲法の解釈で裁判所が国政への参政権は認められないと判断しているとされています。二重国籍がその外国人に単純に当てはまるものではないでしょうが、二重国籍というグレーゾーンについてですから、則って厳粛に取り扱われるべきです。

「ダブルルーツへの偏見に繋がる」というのも理解できない話ではありませんが、果たしてそうでしょうか。ダブルルーツの人間であることと二重国籍であることは、ある程度異なっていると考えるべきで、今回問題にされているのはあくまで後者です。

 

以上のことより、戸籍謄本の開示は、行われるべき最小限の措置だと考えます。一方、それが全てではなく、あくまで疑惑は残ります。そのことは忘れられるべきではありません。

 

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